戦国遊戯
「えー、出席をとる前に。みんなにお話があります。もう、ほとんどの子が、知っていると思いますが、先日より、お休みをしている、田中君ですが、昨日、親御さんより捜索願いが出されました。もし、誰か、田中君の行方を知っている人がいたら、必ず、先生、もしくは警察の方に連絡をするように」


まさか、希美の言ってた子って、田中君のこと?
…だから、あんなに驚いたのか。


数日前から主が不在となってぽつんと取り残されている机を眺めながら、玲子はまた、"ふーん"とだけ思った。

HRでの先生の話に、クラスの中が一瞬騒然となったが、いつも通りの日常に戻るのは、あっという間だった。

身近に失踪事件が起こったとわかっても、それがたとえ同級生だとわかっても、玲子にとっては、自分の親しい人間でなくて良かったと、少し、そう思っただけだった。


いつからこんな風に思う様になったんだろ。


ため息をつきながら、ボーっと授業を聞き、黒板の文字をノートに書き写す。先生の声なんて、右から左だ。黒板にコツコツと当たるチョークをただボーっと眺めていた。


何度目かのチャイムが鳴る。ようやく、お昼だ。

「ねぇね、今日は学食?」

希美がぱたぱたっと席までやってきた。

「うん、今日は学食で食べる」

玲子が頷くと、希美はにっこりと笑って学食の方を指差した。

「じゃぁ行こう!」

一緒に学食へと向った。

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