【短編集】現代版おとぎ話
赤ずきんちゃん


「はぁい、おかゆ出来たよぉ。」


私はにこにことしながら愛する愛するマイダーリンの部屋に入った。

ダーリンたらね、風邪引いちゃったの。

バカは風邪引かないっていうんだから、ダーリンはやっぱり頭良いのね。


え?今8月って?

夏風邪はバカが引くって?


やっだぁ、ダーリンが風邪引いた時点で、今は夏じゃないのよぉ。



「私食べさせてあげるねぇ。」



って良いながら、ダーリンの口におかゆを運ぶ。

「おいしいよ」って微笑みが、私最高に幸せっ!



「ねぇ、なんでダーリンの腕はそんなに大きいの?」

「君を思いきり抱きしめるためだよ。」


「ねぇ、なんでダーリンの足はそんなに大きいの?」

「すぐに君の所に行くためだよ。」


「ねぇ、なんでダーリンはそんな耳をしているの?」

「君の声をきちんと聞くためさ。」


「ねぇ、なんでダーリンはそんな大きな目をしているの?」

「君を瞳に移すためだよ。」


「ねぇ、なんでダーリンは大きな口をしているの?」

「君のおかゆを食べるためだよ。」



あら、最後だけ期待はずれ。

キスするため、って言って欲しかったのになぁ。



ま、いっか。私ダーリン大好きだもんッ。






・・・え?

耳と口?あぁ、いいのいいの。

普通なんだけど、ま、その辺は臨機応変。おとぎ話通りに・・・ね?




< 13 / 30 >

この作品をシェア

pagetop