ディーダラス2064
八人のメンバーは火星に降り立つと
火星の未知なる大気を宇宙服なしに吸いこんだ
少し空気は薄い
吸いこんで地球の大気と比べると息苦しさは生じるものの
充分そのままで生存可能であるこを意味していた。

火星はもはや死の惑星でなく
遠い遠方からの友人によって
生命の満ちた世界へと変貌してしまっていた。

誰もが感動し、
地球上の市民もまたすべてにわたって
彼ら未知なる来訪者に敬意の念を抱かずにはおれなかった。

八人は
まるで約束でもされた場所に向かうかのように
この火星の大地をとぼとぼと歩いていた

彼らの降り立った場所は
クリュッセと呼ばれる場所で
比較的火星の中緯度に位置していた
そこはおおよそ百年近く前バイキングという
初歩的な地球の探査機が初めて降り立った場所で
記念すべき場所だった、

空の青い火星というのも奇妙なものだ

スチュアートがそうささやいた
ジョングレンは大笑いしてこういった

「別に不思議じゃないさ、地球も 火星も わけ隔てる意味なんてない」

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