-恐怖夜話-
「押せっ!」
東悟のかけ声ともに、渾身の力を込める。
重っ……。
予想外の戸の重さに思わず呻き声が漏れた。
スニーカーの靴底が、ずるりと滑っていく。
大の大人二人がかりでも、閉めれれないほどの大きな力。
あの華奢な細い腕のどこにそんな力が宿っているのか。
それでも、さすがに2対1。
数に勝る私たちの方が優勢だ。
じり、じり、じり。
少しずつ、確実に閉まって行く戸。
ガタン!
遂に戸が完全に閉まった瞬間、私は、白い腕が跡形もなく『すうっ』と消えるのを、確かに見た。