先生と私のたった一度の恋
夜空の下で

1

私の歓迎会も終わりに近づく。
私は、あれから先生とは一回も話してない。



せっかく紫庵さんが気を使ってくれたのに…

ぼんやりとしながら窓の外をみていた。
と、肩を叩かれた。



振り返って見るとそこには、和馬先輩。


和馬先輩は、私にジュースを渡してくれた。


私の隣に立つ。



「ねぇ…」
「はい?」

和馬先輩に聞かれて私は、じっと先輩を見た。


それは、端から見れば見つめ合っているようで。


「(やっぱり)
外に行こう。」


和馬先輩は、私の手を取って中庭に行った。


その姿を先生がみていた。
先生の持っていたワイングラスには、ヒビが入っていた。




中庭に着いた私達は明るい満月の月明かりに照らされる。


「和馬先輩?」


私が和馬先輩を見つめると、和馬先輩は真剣な表情で言った。


「儚って…仁也先生の事…好きだよな?」

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