NOEL（ﾉｴﾙ）

ψ4. 白い光の先に

ψ4. 白い光の先に




「おいエド！
いいのかよ、早く行かなくて」

ガイは工業用パワーPCにかじり付いているエドに向かって叫ぶ。

ハードなコンクリートの壁、排気ダクトむき出しのガイの研究室は、ユーロのファームとは対照的に温かい光を感じる事は無い。

代わりにあちこちにこびり付いた機械油の臭いが鼻を突き、隣接するファクトリーからは常にギコギコという金属音が響いて来る。

「ちょい待て。
今データを保存してるところだからよ。」

エドは腰を浮かしながらもカチカチとキーボードを打ち込んでいる。

「しっかし驚いたな。
上の連中がこんなモノ作ってやがったなんてよ。
全くアイツはどこまで成長すりゃ気が済むんだかな。」

興奮した声を出すエドを見ながら、ガイは呆れたように浅黒い頭を掻く。

「ったくさ、どうしてそれを此処でやってるかな。
セシルのモニタリングなんて自分のとこでやれば早いものを･･･。」