NOEL(ノエル)

母親の激しい嗚咽が聞こえる。

ニコルは布団を出ることも出来ずに、小さく息をしながらベッドの隅にうずくまっていた。

父親-アランの静かな声が聞こえる。

「君は本当にそうやって割り切ることが出来るのか?

あの日・・・
カロルはここへ帰ろうとしていた。

僕たちや義父さんに報告したい事があるからと、モニターに映ったカロルは嬉しそうに話していた。

それまでは僕たちがいくら聞いてもNANOの事は話せないからと固く口を閉ざしていたカロルが、あの日はとびきりの笑顔で、そう話していた。

まるで・・・
僕たち三人、義父さんの研究所で笑い転げながら過ごしてた、子供の頃みたいな笑顔で・・・。」

「そう。

でも姉さんは帰って来なかった。
そこから、帰っては来られなかった。

だから私は・・・
私はあなたにVINOへ行って欲しくないの!」

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