NOEL(ノエル)

後に残されたアルベルトは、一人その場に立ち竦み、頭の中を何とか整理しようと試みる。


(父さんがセシルを?

一体・・・何の為に?

それに、ニコルに良く似たあの人は・・・

父さんと知り合いだった?!

しかも、父さんが優秀な研究者?

まさか。

だって父さんは昔からいつも議会で家に居なくて・・・

居なくて・・・だから

そうだ。

僕は父さんの事を何も知らない。

今まで興味すらなかった。

僕がアンドロイドに興味を持ったのも、母さんが研究者だったからで・・・

その母さんにすら会えるのは白の翼でしかなくて。

僕が話をするのは、いつもエレナだけだったんだ。

そう。僕はいつも一人だった。

何故・・・・

何故、僕はいつも一人だったんだ・・・?!)


頭の中を整理しようとすればする程、湧き上がる疑問が積み重なっていく。

アルベルトは眉間に手を当てながら、白い壁に寄りかかった。


―― シュン

その時、研究室のドアが開く。
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