恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
……と相手を見下したような感じで言う若い女のコの声が聞こえてきた。

声の主は分かってた。

だから聞こえないフリをして、そのままゴミ箱のほうに行こうとするんだけど、その前に数名の女のコたちが回り込んできた。


「あゆみ……センパイ……」


思ったとおり、声の主は、以前、あたしを噴水に突き落として、井川センパイとの映画デートの約束をブチ壊しにした張本人――つまり、あゆみセンパイだった。

そして、そのまわりには真澄センパイほか女子バレー部で、あたしをパシリにしていた面々の姿もあった。

「ふぅん、あたしのこと、まだ“センパイ”って呼んでくれるんだァ」

うすら笑いのあゆみセンパイは、今日もファッション雑誌からそのまま引っ張り出してきたみたいな流行りのおしゃれ着を、そのナイスなバディで見事に着こなしていた。

「あ、あのぅ……なんか用ですか……?」

「別にィ。……いや、せっかくだから用事を頼んじゃおっかなァ♪ あたしら全員のチケットと飲み物とお菓子を買ってきてよ♪ もちろん、おカネは全部アンタ持ち♪ お願いね、パシリのわんこちゃ~ん♪」

「………」

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