恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
とたんに面々の顔からうすら笑いが消える。


「イヤ……って言ったんです」


「わんこのクセに、イヤなんて言っていいと思ってるワケっ?」


「あたしは“わんこ”じゃありません。“一子”です。犬塚一子ですから」



ねぇ、ミュウト。

ミュウトと出逢って、あたし、すごく変わったんだよ。

それまでのあたしはヒトに頼まれるとイヤって言えない“パシリのわんこ”で、いつも他人の目ばかりを気にしながら、自分のやってることに自信さえ持てない人間だった。

そんなあたしに、ミュウトは教えてくれたんだよね?


「いいか? 自分で思ってるほど、まわりのニンゲンはお前のことなんて、なんとも思っちゃいねぇんだ」


「金輪際、自意識過剰はやめるこった。そーすりゃ、お前だってまわりの目なんか気にしねぇで、もっと自分らしく……もっとお前らしく生きていけるはずだ」


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