恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
……ってか、犬猫病院から自宅に連れ帰る途中、あたしの手を思いっきり引っかいて、とっととどっかに逃げてっちゃった。
せっかく、親や親戚からもらったお年玉を集めて貯めた貯金を下ろしてまで病院に連れていってあげたのに……、
「ありがとニャン!」
……のひと言もなく、それどころか恩を仇で返したねこたん。
あたしなら、そんなのあり得ないっ!
どうして自分に良くしてくれたヒトに対して、そんなことが平然とできちゃうワケ!?
嗚呼、できることならねこたんになりたい。
ねこたんみたいにクールになりたい。
たとえ相手にどぅ思われようと、そんなのてんでおかまいなしで、自分の思いを貫き通せるニンゲンになりたい。
「イヤ」なことは「イヤ」って言えるニンゲンになりたい。
だけど、それは叶わない夢。
だって、あたしはわんこだから。
ヒトに何かを頼まれるとゼッタイ「イヤ」って言えないパシリのわんこだから―――――