恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~

それも選手がレシーブしにくいような位置をあえて狙って打ち込むもんだから、しだいに選手たちも足元がおぼつかなくなり、フラフラになってくる。


でもフラフラなのはレギュラーの選手たちだけじゃない。

あたしら1年生の新入部員たちもフラフラだった。

ちゃんとレシーブして反対コートにボールを返してくれるならともかく、こうアチコチにところかまわずボールが飛んでいっては、ボール拾いのあたしたちは、それこそ広い体育館じゅうを走りまわされる勢いで、ボールを追いかけていくしかなかった。


ハァ、ハァ、ハァ……


肩で息をしながら、フラフラの足取りでバウンドしながら転がっていくバレーボールを追いかけているあたし。

「あっ…!!」

あとちょっとでボールに追いつけるというところで、足がもつれて前のめりにコケてしまった。

”ヤバイっ“とあたしは思った。

このままじゃ、ボールがとなりで練習している男子バレー部のヒトたちの中に転がり込んじゃう!

< 38 / 205 >

この作品をシェア

pagetop