恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
それも選手がレシーブしにくいような位置をあえて狙って打ち込むもんだから、しだいに選手たちも足元がおぼつかなくなり、フラフラになってくる。
でもフラフラなのはレギュラーの選手たちだけじゃない。
あたしら1年生の新入部員たちもフラフラだった。
ちゃんとレシーブして反対コートにボールを返してくれるならともかく、こうアチコチにところかまわずボールが飛んでいっては、ボール拾いのあたしたちは、それこそ広い体育館じゅうを走りまわされる勢いで、ボールを追いかけていくしかなかった。
ハァ、ハァ、ハァ……
肩で息をしながら、フラフラの足取りでバウンドしながら転がっていくバレーボールを追いかけているあたし。
「あっ…!!」
あとちょっとでボールに追いつけるというところで、足がもつれて前のめりにコケてしまった。
”ヤバイっ“とあたしは思った。
このままじゃ、ボールがとなりで練習している男子バレー部のヒトたちの中に転がり込んじゃう!