君を愛してる 〜だから死にたい〜
曇りのち、愛
 美里達が俺の前から去ってから一月が過ぎようとしていた。

 季節は秋になり、ふと空を見上げる俺は秋空の移ろいに思いを馳せる。

 あんな風に俺の心も移ろえれば――

 あの日から俺の心は曇っている。そんな心を持て余しながらも、変わらぬ生活に埋没する。

 「お兄ちゃん、体温計ある?」

 「ああ、あるぞ、なんだ頭痛いのか?」

 「うん、ちょっと体怠くて……」

 「ほら、体温計。ちゃんと薬飲んで寝てろよ?」
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