君を愛してる 〜だから死にたい〜
絶望へのベクトル
 さらに三週間が過ぎ、季節は本格的に冬に変わっていた。

 俺と砂稀はお互いの距離を急速に縮めた。

 俺は砂稀と呼び、砂稀は一稀さんと呼んだ。

 付き合ってはいなかったが、付き合っていないだけだった。

 既に俺は何かが愛だと疑っていなかったし、砂稀も同じ気持ちだと信じていた。

 暇さえあれば同じ時を過ごし、お互いの存在を確かめ合うように触れ合った。

 そこに性的な要素は皆無だったが、さして問題ではなかった。
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