明日への扉
その日の練習は、いつも以上に集中した。



ボールを必死に追いかけてる間は、何もかも忘れられた。







練習を終えた部室には…


チョコの甘い香り。




美穂が口を滑らせたせいで、私のお菓子作りは部員全員に知れ渡った。



そして、みんなからのリクエストを受け、私たちが食べるチョコを作ってきた。


食べやすいように、一口サイズにして、キャンディーみたいにラッピングした。



「おいしー! 希、天才!」



「来年は好きな人に渡せるように、頑張りなよ!」



チョコを食べながら、笑顔で声をかけてくれる、みんな。




「そうだね! 頑張るよ!」




私のチョコは、好きな人へ届くことはない。




でも今は、そう言うのが、一番いい答えだ。







< 135 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop