明日への扉
入り口に向かって歩いて来た彼に道を譲るため、数歩横に移動した。





『パタン』





えっ?…




ドアは閉まったけど。




彼はまだ、教室の中に居た。




「お前さ… どこ受けんの?」



教壇の椅子に座りながら、私を見る篤史。






「えっ? …えっと…」



いきなり2人きりのシチュエーションに戸惑いながらも、受験する学校名を告げた。






「そっか… 地元の学校だな…」



そう言いながら、うつむいた。





「柴田は… どこ受けるの?」




本当は知りたかった、彼の進路。



本人に聞けるチャンスが、くるとは思わなかった。




「俺? 俺は…」



彼が言った学校は、ここからメチャクチャ遠い所だった。




「そんな… 遠いトコ行くんだ…」




「どうしても行きたい学部が、あってさ。 俺の学力と照らし合わせたら、そこしかなくて。」




「そっか…」







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