明日への扉
あの旅行が、私への最高のご褒美だったのかもしれない。




それからは篤史と話すどころか、見かける事も少なくなった。








冬休みも終わり、今年もやってきたバレンタイン。



また家でチョコを作ったけど、渡したのは純ちゃんだけだった。



玲子は


「山下は友達止まり。話してみたら、ガキッぽいんだもん。」


と言って、渡さなかった。



美穂は、野球部の先輩に告白されたけど、どうしても好きな人が忘れられず、断った。



私は…やっぱり勇気がなかった。



最近は『篤史の彼女は〇〇らしい』と名前まで聞こえてきて、更に私を落ち込ませる。



噂の彼女は、スッゴク可愛いかった。






残ったチョコは、家でお母さんと食べた。




「来年の今ごろは受験なんだから。頑張ってよ!」



チョコをパクつきながらじゃ、緊張感ないよ、お母さん。





そうか。



春から、三年生だ。









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