ベイスボール
千佳子はマウンドに上がった。


思い起こせば5ヶ月前、千佳子は宮之阪に完膚なきまでに打ち込まれた。

「宮さん。リベンジっすよ!!」


千佳子はマウンドから宮之阪へ挑発した。


しかし、宮之阪は一言も発さずボックスに入った。


一球目。千佳子は外角低めのストレートでストライクを取った。


二球目。千佳子はまた外角低めにボールを放った。


宮之阪は打ちに来た。


打球はライト線に切れるファール。


宮之阪は打席を外して素振りを繰り返した。


(佐野のヤツ‥カットボールなんて投げれんのか‥!?)


宮之阪のスイングしたタイミングはドンぴしゃだったが千佳子はカットボールでバットの芯を外していた。


すると、周囲がざわめいた。


あの宮之阪がバットを短く持ってきた。


そう。宮之阪は明らかに千佳子の投球に警戒している。


すなわち、それは千佳子を1人の好投手として認めた証拠でもあった。
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