【実話】星になったキミへ

ビアン

色々考えている内に、夕飯の時間となった。

考えていたのは、健のこと。


゛なんて言おう。″


゛精神科に入院しました…って、素直に言うしかないかな…″


「りんちゃん、行くよ」


「あ、はい。」


かなさんは、寝たら機嫌が治ったみたいだ。

夕食は、ホールで食べるらしい。


広いホールに、4人ずつ、テーブルと椅子が用意されている。


「杉田さんの席は、ここよ。」


初めて見る看護婦さんだ。


言われるままに席につくと、みんなは配膳をしている。


「今日はいいけど、明日からは配膳をしてね。」


「あ、はい。」


看護婦さんは、私の横から離れようとしない。


「あの…食べづらいんですけど…」


「気にしないで。」


゛気になるっちゅーねん″


結局、私はほとんど口にしなかった。


だって、看護婦さんは気になるし、みんな、食べ方が汚い。


゛食欲もなくなるって″


看護婦さんは…と、いうと、私の残された食事を見て、何かメモしている。


「何書いてんですか?下膳したいんですけど。」


「ああ、これ?杉田さんの食べた量を書いているの。食べる量が少ないと、明日からのおやつに響くから、食べた方がいいわよ。」


゛おやつなんて、いらねーよ!″


心の中で捨て台詞を吐くと、私はホールから一旦出て、タバコを取りに行った。


゛歯磨きしてから、吸いに行こう″


歯磨き、洗顔を済ますと、片付いたホールに行った。


テーブルを見ると、中央に缶々が置いてある。


これが、灰皿か…。


すると、かなさんがやって来て、私の向かい側に座った。


「かなさんも、タバコ吸うんですかー?」


「うん。ここって、これ位しか楽しみないから。」


そう言うと、かなさんは、フーっと美味しそうにタバコを吸った。
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