オレサマ狼×泣き虫羊
「ね、あそこ。楢橋一人なんだけど。」
咲子が机にぶっつぶして寝てる楢橋を見て言った。
当たり前か。どーせ修学旅行も来ないんだろうな。
―あれから、楢橋とは普通には話せるけど、あのことは触れてこないし、触れてない。
そんな雰囲気にできないしね…
「誰か楢橋入れてやってくれー」
無理矢理先生は楢橋を起こして、周りを見渡す。
すると皆はしだいに先生と目を合わそうとしなくなって…
「なんだ、いないのかあー?」
「言い方むかつく」
咲子が小さくつぶやいた。
あたしも先生に聞こえないくらいの声で言う。
「あの担任はソートー意地悪いね」
「思った」
「仕方ないな。まあどうせお前は来ないんだろ?」
さすがにイラッときた。
「先生!あまりにもひどすぎ―」
タンカ切って先生に向かおうとした瞬間、前に誰かが現れる。
「―先生、オレたち五人でなかなか決まらなかったんで楢橋入ってもらっていいですか?」
隣の愛ちゃんがつぶやいた。
「圭斗…」