蜜愛

かといって。

僕から電話することも、はばかられた。
彼女は所詮、

『人のもの』

であり、あの日々は永遠、

彼女の中で
封印されて
風化して

ついには。

なかった事にされる記憶。


なのに。

未練たらしく、僕は彼女と一緒に行った店に顔を出しては、
うっかり出くわさないかな、なんて。


高校生みたいな陳腐な期待をしたりした、この一年。


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