蜜愛
『タマコさん。僕と結婚しましょうよ』

職場で知り合って、

何度か連絡を取り合い

何度か食事に行き

何度かカラダを重ねた

それだけの人にそう言われた時。


あたしは

『隠してたつもりはないけどね。あたし、子供、いるのよ。もちろん、アナタのじゃなくて』

そう、ふざけて言うと彼は

『知ってました。四歳の男の子、でしょ?』

と、彼は淡々と真面目に、いたって真剣に話し。


『だから、なんだっていうんですか。
タマコさんは一度もその名字、変わっていないんでしょ?
つまり、誰のものにもなったわけじゃ、ないんだ』

と言って、テーブルの上の私の手の甲に、自分の手のひらを重ねた。



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