蜜愛

『正式に離婚したら。あなたに話があるの』

僕は待てる。

全然、待てる。


待つのは得意だ。
そして。
黙っていることも。

『あなたにとっては……複雑な気持ちにさせる話だと思う。だけど、私の事を本気で愛してくれるなら』

受け入れられる話、よ。

彼女はそう言って、今まで一人で抱えた秘密のかけらを僕に分けるように。


悲しく、優しく、微笑んだ。


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