蜜愛
蜜の入口
『せいちゃん、これはどうしちゃったのよ……』

母さんは、ビデオを観ながらひたすらに罵声を浴びせた。

『最低ね、かわいそうにこの子…せいちゃんのこと好きだったのに……』

『クズね、こんな風にしかできないなら、もう女の人とこういうことしちゃだめ』

『せいちゃん、全然この子のこと考えてない、こんな風にされたら、警察に訴えたくなるわ』

次々とオレをなじる言葉を並べるのに、

目線は映像に釘付けになったまま、

早送りも巻き戻しもしないで、

淡々とみた。


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