蜜愛
オレは結婚を決めた女の前で


“あきら”と呼ばれて黙り込む。


それがオレの、生を受けたことに対する贖罪であり、

イチコには永遠に語ることはなかった、オレの最大の秘密。
セイタという名前の、『あきら』。

最愛の人に、

あきらという男の遺伝子を愛された『オレ』だから。


少しずつ、母さんから“あきら”と呼ばれることに違和感を感じなくなったころ

全てに納得し始める。


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