蜜愛



全く連絡が来なくなったセイタからの着信音。

いまだに変える事ができないでいた。

彼からの電話は、

特別。


あたしは、彼を思い出しては、そっと彼が何度もそうしてくれたように、自分で自分のカラダに舌を這わせるんだから。

あの着信音が鳴るだけで、あたしは濡れた。

彼の指先、
その付け根にある指輪、
奥さんとのケンカでついたっていう腕の傷。

そんなものを記憶の中でゆっくり辿って、遂には彼の唇に到達する。


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