狂者の正しい愛し方


「……………。」



「……ん、ん?佐薙さん?」


ふいに、頬に暖かい感触。
見れば、もとのように席についた佐薙さんが、私の頬を手で撫でているではないか。

なんのつもりだろうと口を開けば、


「晴姫、俺のこと、好きか?」


「っ………。」

喉まで出てきた言葉は、次の瞬間には胃の奥に引っ込んだ。

以前から何度も、訊ねられた問いだ。


「どう、なんだ?」


佐薙さんは、落ち着いている。

私が本当に佐薙さんを好きか、を心配しているふうではなく、

どちらかと言えば、

“好きであること”を前提に、どのくらい想っているかを訊ねている、ふうに見える。



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