狂者の正しい愛し方



10分前、ファーストフード店で、俺は144回目の問いを晴姫にぶつけた。

俺のことが、好きか、という。


別に、疑心などない。
俺がこれを問う理由は、晴姫に「好きだ」と言葉で言ってほしいからだ。

その心地良い声を聞いて、愛おしい笑顔を見つめて、幸せを噛みしめたいがため。

晴姫が、俺を嫌う筈などない。
何故なら、俺達は愛し合っているから。


……だが、何故だろう。

時折無性に……晴姫の想いを確かめたくなってしまう。

晴姫は俺を嫌わない。
それなのに、俺の心はどこか一ヶ所だけ、底が抜けたように穴が空いている。

その穴は、晴姫からの言葉を聞けばすぐに埋まる……ものの、いつの間にかまた穴になっている。


疑心などない。倦厭など更に有り得ない。

なら何故、こうも俺は満たされない気持ちになるのか。


……答えは簡単。

俺は“貪欲”だから。


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