狂者の正しい愛し方
良かった。
素直にそう思ったけど…、
同時に心に浮かんだのは、
“捨てられたのでは”という一抹の不安。
なんて図々しい考え方だと自嘲しつつも、
私が佐薙さんを避け続けたのは事実だったし、ここまでシカトされても粘り続ける人なんてまず、いない。
この時私は、佐薙さんとは完全に別れてしまったのだと思った。
都合良い女だ。
それでも、“やっぱりやり過ぎたな…”とか、“悪かったかな…”という後悔に襲われる。
その日はずっと自分の部屋にこもって、心の中に生まれた虚無感を見つめ続けていた。