狂者の正しい愛し方


佐薙さんは私の服装や髪型にこだわらないから、そんな身支度に時間をかけることもない。

だからそこらへんに落ちていたパーカーとスカートを適当に選んで、鞄には貴重品少しを詰めるだけ。

お風呂から上がっても髪は乾かさないから、寝癖がひどいことになってるだろうけど、大抵は手櫛でなんとかなるから不思議だね。

鏡を見る暇が勿体無いし。


部屋中に散らかる教科書や服、カッターなんかの刃物やらアルバムなんかを跨いで、やっとの思いで部屋の外に出た。


あとは玄関にダッシュするだけ…と気合いを入れたとき、


珍しいことに、お母さんに呼び止められた。


「……晴姫、どこ行く気…?」



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