アルタイル*キミと見上げた空【完】

ふいに掴まれた両手をたどると、真剣な凛の目が私を見つめてた。



「汐・・・私あんな風に言ったけど、汐は友達だから。・・・大好きだから・・・・」



そういって、凛は一旦うつむいて言葉を続けた。



「だから、辛いことがあったら、何でも言うんだよ?私は汐の味方でいたいから・・・ね?」



凛・・・


「凛・・・ありがと。でも本当に大丈夫だよ?・・・もしかしたら、今やっと昔の初恋に気づいてるだけなんだと思う。小さい頃、好きだったのかな、って」


「・・・・」


「それに・・・もうずっと昔に私、凱にふられたことあるから」


「え?凱くんが??」


「ん。凱が優しくしてくれるのは幼なじみだから、というだけ。ってことに、昔も今も気づくのが遅いんだよね。本当バカだ、私」


「そう・・・なんだ」



そう。


ずっと昔に、凱が私のこと眼中なしだ、って言ってたことを思い出した。



そうだよ。



あの時に、私はすでにもう失恋してたんだ。



バカだね。



凱の優しさは昔から変わらないのに、それを勝手に意識しちゃって、



今一番大切にしなきゃいけないものが見えなくなってた・・・・・。



< 206 / 640 >

この作品をシェア

pagetop