おつかれマイハニー

「矢澤君と何話してたの?」

帰り道、真陽が尋ねた。


「私を保健室に運んでくれたこととか、名前の読み方とか……」
もう一つのことは言わなかった。


「矢澤って、水雫に一目惚れってやつ?」


「まさかぁ」
何か、変な人だし。



「でも凄かったよ。女子の憧れお姫様抱っこ」


『お姫様抱っこ』に反応して顔が熱くなる。
記憶はないけれど、想像するだけで恥ずかしい。


「矢澤って結構人気あるらしくてさ。女子はかなーり見てたね。妬ましげに」


一変して、血の気が引いた。
女子の妬みほど怖いものはないと思う。

「しかも『彼氏いんの』でしょ。水雫明日から大変だわ」


「まなかぁ~ッ!」

私より少しだけ背の高い真陽に抱きつく。
真陽はヨシヨシと私の頭を撫でた。


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