ちょっと待って、流れ星
何度か咳払いをし、漸く落ち着いた彼は、にっこりと笑い、口を開いた。


「だってねえ、この子、勘違いしちゃってるみたいでさあ、わたしのこと死神とか言うんだよう」

楽しそうに言いながら、ねえ、とわたしに同意を求めてきた。わたしはどうすることもできず、ただ彼を見つめるしかなかった。


「は?意味分かんないし。ていうか、その女、何?」

ぶっきらぼうに『弟』が言うと、後ろにいた少女が前に出てきて『弟』の前で仁王立ちになった。

「清彦さん!女性のことをそのように言うもんじゃありません!」

「そうだよう、清彦。きみはそんなんだから女性から慕われないんだよ」


そう言われ、『弟』もとい清彦さんは決まりが悪そうに顔を背けた。

「いいから、何なのか教えろよ、兄貴」

口を尖らせて言う清彦さんは可愛らしく、笑ってしまいそうになったが、どうにか我慢した。

「そうだねえ。まあ、わたしの憶測なんだけど、おそらくこの子は氷雨が呼び寄せたのだろう」
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