伝説プリンセス
「3,4年前。
グラシリア王国の王権交代が行われた。
まぁ、当時の国王も歳とっていたからのぉ、
若い息子に継がせるのは当たり前じゃ。」
呼吸を置いてまた口を開く。
遠くからヒロが食器を洗う音が聞こえる。
「王様の息子は二人いた。
その長男が次期国王になる予定だったが、
そいつは病死した。そして、今は二男が王権を握っている。」
俺たちは黙々と罰斗の話を聞いていた。
王族とは全く縁のない俺はただおとぎ話でも聞いているようにしか思えなかった。
サチにしがみついていたライナは“王権”という事もあって顔を上げて聞いている。
「しかし、これは表向きの話だ。
王家に関わりに持っていたわしや
敵意を持っていた海賊どもはその長男の顔を知っている。」
ヒロが戻ってきた。
しかし、俺達を避けるように出口と向かってしまう。
罰斗はそれを見て、またほくそ笑み、こう言った。
「元王様候補は生きている」