大空の唄‐second‐



蒼空にジッと見つめられあたしの鼓動は高鳴る



そんな目で見つめられたら何も考えられなくなってしまう


あたしはそんな自分を隠すように口を膨らませた



「行きたいんだ。」


「は?」


「仕事、行きたいんだ。」


そう言うと蒼空は困ったように眉間にシワを寄せた


「行きたいなんて言ってないだろ?」


「言った!」


「言ってねー!」


「言ったじゃん!嘘つき!」


「言ったけど言ってねー!」


「何それ訳分んない。」


私がそう言うと蒼空は小さくため息をついた。


「急にどうしたんだよ。」


その言葉と共に蒼空はあたしの頭にポンと手を置く。


何故か泣きそうになった。


始めは照れ隠しのつもりで、意地悪のつもりで言ったのに、そんな風に優しくされると急に寂しさが込み上げてくる。


「だって、寂しいんだもん」


あたしが素直にそう言うと


蒼空は微かに微笑んだ


「俺だって行きたくねーよ。」


「え?!」


聞こえなかった訳じゃない


まさか蒼空がそんなことを言ってくれると思っていなかったから、つい聞き返してしまった


「お前絶対聞こえてるだろ?」


あたしが相当目を輝かせていたのだろう。蒼空はそう言うと、あたしの頭をくしゃっと撫でる。


そして


「また、来るから」



そう言って蒼空は部屋を出た。


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