ヴァンパイアに、死の花束を

消えない傷

2009年、6月。

日本。

聖マリアンヌ学園高等部。




大好きな月曜の4時限目。

わたし、入江神音(いりえ かのん)16歳は、陣野先生の流暢な英語が聴こえてくる中、

始まって10分とたっていないのに、寒気のする体を両腕で押さえながら、必死で貧血に耐えていた。

血の気が引いてくる。

血が急激に下がっていく音が聴こえる気がするくらいキツイ貧血。

変だな、生理の時くらいしかこんな貧血起こったことないのに。

そんなことを思いながら冷や汗の出てくる額を手のひらで押さえた。

わたしの指が、6年前からそこにある深い傷に触れる。

三日月のように、わたしの額に浮かぶその古傷。

キンとこめかみから頭痛が走り、わたしは顔をしかめた。

どうして?

この傷に触れると必ず襲ってくる頭痛に、どうしようもなく不安な気持ちになる。

……どう……し…て…?



「入江?入江……どうした!?」




遠くで、大好きな陣野先生の声が聴こえたけれど。


わたしは返事をすることができなかった。










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