ヴァンパイアに、死の花束を
穂高は刃に斬られた手の甲から流れる血をペロリ、と舐める。

「べつに。雨なんて怖くないからいつでもどうぞ」

唇の端を上げて、挑発的に微笑んだ穂高の瞳はバイオレットに輝いていた。



バイオレットの瞳の『ヴァンパイア』と、深紅の瞳の『吸血鬼』の対峙。



……ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……………!!!



心臓の鼓動が、痛いくらいに………苦しい!!!


2人への愛が……わたしの中に確かに、ある。



――――――――――体が2つに千切れてしまいそうだ!!!!!



「……火月(カヅキ)……」

2人の様子に構うことなく、江島先生が陣野先生の体に絡みつく。

それを艶っぽい目つきで受け入れる陣野先生の甘くエロティックな表情。

「血が………欲しい…」



………………ジュル……グ…ジュル………!!!


絡み合うヴァンパイアの姿を月が煌々と照らす。

陣野先生の喉に牙を突き立て、恍惚とした表情で血を吸う江島先生。


……………ドクン、ドクン、ドクン………。



―――――――陣野先生…………!!!


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