あの頃へのラブレター
三通目…告白
礼ちゃん、今はいいお母さんになってるのかな。

中学二年の時に転校して来た俺は、礼ちゃんの隣の席に来たんだよな。

俺、礼ちゃんの事一目惚れだったんだぜ。

けど、どういう訳か、一度もデートに誘った事が無かったんだよな。

覚えてるか?

授業中、あんまり授業がつまらないものだから、センコーにばれないように、ノートを小さく切って手紙みたいにいろんな事を書いてやり取りした事。

隣同士なのにだぜ。

今考えると笑えるよな。

でも、あん時の俺、すげえ幸せな気分だったんだ。

なんか、礼ちゃんと両想いになれたみたいでさ。

三年からはクラスが別々になったけど、休み時間とか、よく互いの教室を行き来したよな。

俺の事を呼ぶ時、恥ずかしそうに顔を朱くして、手招きしてたじゃん、俺さあ、礼ちゃんもまんざらじゃないのかなって思ってたんだ。

たまに学校の帰りに俺が本屋で立ち読みなんかしてると、そっと寄って来て、学生服を後ろからツンツンて引っ張ったりしてさ、そういう意味もなさそうな行為が、何だか気を引こうとしてたのかなって……

中学を卒業する時、俺一人が進学しなくて、板前になったんだけど、礼ちゃんが俺が働く店にアルバイトに来た時はビックリしたよ。

夏休みの間だけだったけど、あん時は下働きの辛さなんて吹っ飛んでた。

でも、暫くして、うちの店の先輩と付き合うようになっていたのを知った時は、ほんと、ショックだった。

それから五年位会わなかったけど、有楽町の喫茶店でバッタリ再会した時は、運命か?なんて思ったりしてさ。

翌年の正月、礼ちゃん俺のアパート迄来たらしいんだって?

大家さんが、すごく綺麗な女の人が訪ねて来たよって言ってたけど、たまたまあん時は実家に帰ってたんだよなあ。

なあ、あん時、なんかあったのか?

今更心配しても遅いよな。

俺、今だに礼ちゃんの事好きみたいだ。

昔の事、よく思い出すんだけど、俺、気が付いたんだ。

いいか、絶対に笑うなよ。

それはな……

一度もちゃんと好きだって言った事が無かったって事。

今更だけど……

本当に大好きだったんだ……

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