エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
微妙なシングリッシュ
ここは“ホーカーズ”と呼ばれるシンガポールのニュータウンの一角に在る屋台村である。
今まさにその中央に設けられたイートインのスペースで必死に『ブロウン・ミー(蝦麺)』と言う巨大エビの入った汁麺のエビに食らい付こうこうと格闘している男が“源”だった。
その姿があまりに必死なので、なぜか屋台の女性たちの気を引くらしくここでも源はすぐにお馴染みになった。
そしてブロウン・ミーが好物の源にその屋台の老婆はオーダー以上のエビをのせてくれるのだ。
「う〜ん!やっぱうめぇ〜っ!!」
今日も十二分に腹を満たした源の手は思わずポケットに伸びるが、中の物を取り出す前にハッと気付いた。
「そうか!ここも禁煙だ。」
シンガポールは煙草に対して異常なくらいに規制が厳しくほとんどの施設内は禁煙だ。
極々たまに喫煙スペースが設けられた所もあるが、その場所を探して歩くだけで疲れて、もういいや。と出先で喫煙する事を諦めてしまう程だ。
しかし、反対のポケットに入れているケータイがブルブルと振動しだしたので、源は急いでそれを取出し確かめた。
「…なんだ。飯島かぁ〜。」
そうつぶやくと源は
「ハイハ〜イ。」
と軽いノリで応答したが、
「おっ!なんかお楽しみに水さす電話で悪いな。」
と冷静な飯島が答えた。
今まさにその中央に設けられたイートインのスペースで必死に『ブロウン・ミー(蝦麺)』と言う巨大エビの入った汁麺のエビに食らい付こうこうと格闘している男が“源”だった。
その姿があまりに必死なので、なぜか屋台の女性たちの気を引くらしくここでも源はすぐにお馴染みになった。
そしてブロウン・ミーが好物の源にその屋台の老婆はオーダー以上のエビをのせてくれるのだ。
「う〜ん!やっぱうめぇ〜っ!!」
今日も十二分に腹を満たした源の手は思わずポケットに伸びるが、中の物を取り出す前にハッと気付いた。
「そうか!ここも禁煙だ。」
シンガポールは煙草に対して異常なくらいに規制が厳しくほとんどの施設内は禁煙だ。
極々たまに喫煙スペースが設けられた所もあるが、その場所を探して歩くだけで疲れて、もういいや。と出先で喫煙する事を諦めてしまう程だ。
しかし、反対のポケットに入れているケータイがブルブルと振動しだしたので、源は急いでそれを取出し確かめた。
「…なんだ。飯島かぁ〜。」
そうつぶやくと源は
「ハイハ〜イ。」
と軽いノリで応答したが、
「おっ!なんかお楽しみに水さす電話で悪いな。」
と冷静な飯島が答えた。