エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
それぞれの8月10日
《美佐子の出来事》

しかし、こうも三人の捜索が難航するとは思わなかった。

源は当初、勇を知り合いの施設に預けるように予定していたようだが、その施設はすぐにみつけだしたが、全然、現われる様子はなかった。

脱出の時、バラバラになったのだ。

後で落ち合った可能性は低い。

しかし、源と火菜は予め用意されていた場所へと逃げおうせたハズだ。

どうしてもその場所が分からずにいたが、やっとで源が飛行機でシンガポールに飛んだ事だけを掴んだ。

私たちはすぐに腕の立つ男を五人シンガポールへと派遣した。

源の事は向こうで始末してもいい。ただし、くれぐれも火菜の潜伏先だけは吐かせるようにと念を押した。

そこに、吉永が現われた。

私はいったん、自分の部屋へと上がって吉永を招き入れた。

その代わり秘かにシンを忍ばせている。

吉永は、今日は完全に媚びるような眼差しで、もう完全に昔のような孤高さは持ち合わせていない。

「どうかしたの? 突然にここへ現われるなんて…。」

私たちは吉永に関してはもう調べあげていた。

『和田 梓』を調べさせたら、彼女の表と裏の顔が明らかになり、吉永が彼女の裏稼業の顧客だった事がすぐに判明したのだ。

そして、中条も和田と故意にしていた。

中条も和田の客だったかはもう知る由もないが、中条の最期を和田が一人で看取っている。

もうこれは、中条が和田に何かを託して死んだのは間違いない。

しかし私たちがその事を調べる前に、和田は病院を去り、姿をくらました。

丁度、私たちも残った吉永を締めあげねばと思っている所に向こうからやってきたわけだ。

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