エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
児島の母は、望の協力を得られるようになったので、幾分か落ち着きを取り戻していた。
勇の母の弥生も一緒に来てくれるらしい……なんとも心強い助っ人だ。
――絶対にうまくいく。お母さんがあなたの無念を晴らしてみせるからね。
児島の母は、娘の未来に心の中で話し掛けていた。
そして今、未来の代わりになっていてくれている火菜の為に着替えや晩ご飯の用意をしてやる事にした。
勿論、勇の分も用意しながら、前に火菜が
「勇は、リンゴが好きなんだよ。だからいつも私が剥いてあげてたの。」
と言っていたのを思いだして、テーブルの上にリンゴと果物ナイフも準備した。
そして、多分すれ違いになると思い、置き手紙も添えた。
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