エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
投函された二通の手紙
その頃、渦中の中条家では火菜、源、勇、弥生の順に優先順位が付けられ、それぞれ黒沢の元に部下たちがチームを組んで捜索にあたっていたが、どのチームも芳しい動きはなかった。

特に火菜の捜索チームは火菜が重要なデータを持っているので最重要視され、黒沢自ら陣頭指揮にあたっていた。

しかしなにしろ火菜が外に出たのは初めてで、外部に協力者がいるとは考えヅライ。

なので唯一の手がかりである母親の望の家は厳重に見張ってある。

ただし、出遅れて盗聴の準備が整ったのが火菜たちが脱出した日の夜だった。

この遅れはかなり痛い。

どうやらもう火菜はそこに現われる気配はなかった。

しかし何らかの接触があるかもしれない。

おまけに黒沢は谷川夫妻に大きな貸しもある。

中条の通夜で騒動を起こしたり、どうやら偽のテレビ局も谷川たちの仕業のようだからだ。

黒沢は『目には目を 歯には歯を』と考えて谷川家を見張らせた。


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