エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
美佐子にはそんな吉永のエロい考えが分かるわけがなく、ただ

(あの娘が吉永に夢中になる事などないだろう。何か夫と関係があるのかもしれない。)

と予感していた。

「彼女 なんて名前?」

美佐子は念のために調べようと思った。

吉永は名前さも教えたくはなかったが、これ以上美佐子の機嫌を損ねてはと

「たしか…和田 梓だったかな…。」

とわざと曖昧な感じで伝えると美佐子は

「わだ あずさ ね!ありがとう。」

そして伝票を取ると吉永に念押しで

「それじゃあ もう行くわ。でもこれ以上私を怒らせるような事はしないでよ。父に何かしたら承知しないからね!!」

といい捨てて出て行った。

吉永は一瞬ムッとしたが

「そうか…あの親父も俺の手中にあるな。」

と気がついて久々に脳内で人体を切り刻むイメトレをした。

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