ことばのスケッチ
この社会は馴染まないと思ったのか、話の途中からぷいっと離れて、グランドに駆け下りた。ベンチに座っている三人の母親の前で、棒切れを手に地面に何かを書いている女の子の前に、ちょこんとかがみ込んだ。母親の仕草から「ぼく可愛いわね」と言われているようである。女の子は、傍らにあった棒切れをユキに渡して、自分も何かを書いている。ユキも何かを書き出した。三人の母親はおしゃべりしていて、目の前の子供には無頓着である。暫くして、三人の母親は腰を上げた。女の子もその後に続く。ユキは土手を駆け上がり、ブランコのある平地のベンチに腰を掛けている婆のところへやってきた。桜の花が散って、青々とした葉の間から光が差し込んでいる。
< 46 / 177 >

この作品をシェア

pagetop