ことばのスケッチ
「先ず、朝の挨拶は、部長を頭につけないと、部長、おはようございますって言わないと、加藤さんもそれで失敗したんだから。加藤さんがね、柴田さん電話ですって取り次いだら、私は部長だから、部長と呼んでほしいと言われたんですよ。それから、随分早いんですねって言う意味判るかしら?」
「誉められたんだと思ったんだけど」
「それは違うわね。もっと遅く来て欲しいって言う意味よ。岡村さんよりも早く来るには何時もより三十分も早く来なければならないし、それに不安なのよ。いつも岡村さんに先を越されるんじゃないかってね。岡村さんも皆と合わせたほうがいいと思うけど」
「はい、解りました。皆はどうしているんですか?」
「よけいな話はしないで、事務的な話に限定しているわね。話す時は、必ず頭に部長って言うのよ」
「寂しいと思うんだけど」
「それが間違いね。下々のものは、軽軽しく話し掛けちゃいけないのよ。遠く距離を置かないとね」
「それで皆、朝の挨拶もしないんだ」
「やっと解ったみたいですね」そして、彼女は更に話しを続けた。
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