この世のしるし
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世界でも有数企業の本社ビルの敷地内。

断崖ギリギリのその場所で、サクラは夕日を見つめていた。

毎日仕事が終わった後、ここに来て、目の前の夕日を見るのが習慣になっていた。


地方の救護係から、本社へ昇進してもうすぐ3ヶ月。
体力第一のこの会社で、救護係というのは、地方ですら、目の回る忙しさだった。
だから、本社は過酷を極めるだろうと覚悟をしていたのに…

トレーニングルームの救護室勤務、それが仕事だった。

捻挫や軽い打撲、突き指に切り傷、擦り傷…その治療がサクラの仕事。


「暗殺集団がカッターで指切ったって…なによ…」


ため息が海風に運ばれていく。



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