神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
月読を地面に降ろした幹矢は口元に指を当てて口止めをした。


「別に良いではないか。赤子は皆そうして生きて来るものだろう?」


なぜ止められたのか分からない月読は、不思議そうな顔で幹矢に答えた。


「いい年してそんな事人前で言われるのは恥ずかしいんだよ!いいね!?
じゃあ気を取り直して透のギプスを斬ってあげてくれ。」


幹矢はまくし立てるように言うと、月読の背中を押しながら透達の元へと戻って行った。


「おかえりー!お姉ちゃん担がれたり押されたり忙しいねぇ。」


彩音が月読を指さしながらケラケラと笑った。


「本当に落ち着きのない奴じゃ。…わかったわかった斬ればいいんだろう?小僧動くなよ?」


そう言うと月読は居合いの構えをとって間合いを詰めた。
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