神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
第八章 天岩戸
翌日、昨夜のスサノオの一件を透から聞いた一同は、早速約束の場所となる夫婦岩を見に行く事にした。

御影が言うには伊勢神宮からすぐ近くにあるらしい。
 
透達は観光客も居る伊勢神宮に着くと、辺りを見回して不穏な気配を探した。


「なぁ…四天王の気配は感じるか?神楽。」


「いや…特に攻撃的な気配は感じない。周りに人が多い影響もあるけどな…。」


「お前が感じないなら俺達にも無理だな。式神飛ばしてみても良いが下手に刺激しない方がいいだろ?」


そう言う沙綺に頷き返した透は、改めて伊勢の景色に目を移した。

なかなか落ち着いた雰囲気の良い場所だ。
緑も多く、空気も凛として神々しく感じる。
やはり霊的濃度が高いというのは間違い無いようだ。


「御影さん、夫婦岩ってこっちですか?」


透がそう問いかけると、御影は首を傾げた。


「確かそうだったと思うが…あくまで聞いた話で見た事は無いよ。九尾…命さんなら知ってるかもね。どうです?」


「夫婦岩?そんなのも有ったわね…。彼が言ったのがそうとは限らないけど、この先にあるわよ?」


命はそう言って海がある方を指さした。
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