〜蒼い時間の中で〜

第二話 新しい家族

　風呂から上がり着替え終わった綾乃を含めた四人は、リビングに集まった。
「…さて。この状況はどういう事か説明してもらおうか？」
　父親である正樹は「…そうだな」と一つ頷き、口を開いた。
「綾乃ちゃんとかなめちゃんは、俺の知り合いの娘でな。ちとした事情で俺がしばらく預かる事になったんだ」
　正樹は世界各地を回る考古学者だった。
　そのためたまに帰ってくると変な土産を持ってきては、拓也を困らせ楽しんでいた。
「どうだ？　今度の土産は気に入ったか？」
「笑えねーよ。んなの。第一、赤字はクラスメートだぞ？　んでプラスその妹ってどんな冗談だよ一体」
「ハッハッハ。それは俺も聞いた時は笑ったもんだ」
　笑っている父親を見て拓也は頭を抱え込んだ。
「…だから笑い事じゃないっての」
　一つため息を吐いた後、拓也は真面目な表情に戻った。
「んで？　親父が言ってたちょっとした事情ってのは、聞かない方が良いのか？」
　拓也の言葉に今度は正樹の方が、真面目な表情へと変わった。
「………いや。そうだな。お前には話しておくべきだな」
　声のトーンを一つ落とし、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「死んじまった親友との約束なんだよ。娘たちを頼むってよ。んで俺はその約束を引き受けたってわけだ」
「ふ〜ん。なるほど、ね」
　拓也は理由を聞いてなぜ明石姉妹が、二人だけでこの家にやってきたか納得した。
「分かったよ。俺は納得した。けど明石たちは良いのか？」
　いくら何でも年頃の女の子が異性と一つ屋根の下で暮らすと言うのは、いささか抵抗があってもおかしくない。
「ああ。俺も一応聞いてみたんだけどな？　二人ともオッケーだとさ」
「…そっか。やれやれだぜ」
　拓也は肩を落としながら、一人立ち上がったのだった。