生徒会長様の憂鬱
「うるさい乳ついてるかついてないか解らんような節穴は潰れてしまえ!」
「節穴!?みてみぃこの両目1.5の1000カラットな瞳!よー見えんで!鈴夏、自分Bカップやろ」
ビシィっと人差し指で私の胸元を指差し偉そうに鼻を鳴らした右京は、まるでどこぞの名探偵コナンだった。
うぜぇ!
目測で人のカップサイズ判断しやがってしかも当たってるのが腹立たしい!
「うるさい!発展途上国なめんな!いつか越えてやるよアメリカをよ!」
「よし俺が協力したる!」
「はぁ?」
「知っとるか、人にもまれ―――…」
突然話が脱線したかと思えば、右京の視線が私から外れ言いかけた言葉がゆっくりと消えていった。
「もまれ、何よ、モマレート伯爵?」
「も、モマ…、後ろ…」
「後ろだぁ?後ろになにがあんのよ――…、あ…」
青ざめて口を開けたまま動かない彼に違和感を感じ、仕方なく振り返ると私は私の後ろに立っていた人物を捉えて瞬間的に凍りついた。
鬼、悪魔、いや魔王。
睨みおろすその視線に含まれる怒気は今までに見たことのないほど凄まじく、廊下を歩く下級生達は容易に近付けないようで私達三人の前を過ぎる時不自然に距離をおいていた。
要冬真の怒気はさながら、範囲攻撃。
私と右京はそのテリトリー内で完全に動けなくなっていた。
「お前らこんなところでなにしてんだ」
ひぃぃ!
怖い!
どんだけ!
「…」
助けを求めようと右京を振り返ると、奴は非情にも私を置いて逃げようと背を向けた瞬間だった。
「おいこらまて右京!」
「あああ鈴夏あかん、世の言う嫉妬というんはな殺傷能力がハンパなく高いねん俺殺される!」
「私だって殺されそうだわ寧ろあんたより30倍くらい殺されるわ!逃げようすんな!」
「鈴夏離しぃ、逃げさせてや!」
「二人ともちょっとこい」
「あ」
「あ」
一瞬にして首根っこを掴まれ引きずられながら、私達は二年生の教室前を後にした。